座標軸 2021.04
たんぽぽによせて
妻よきてたんぽぽに座せかがやかむ 土岐錬太郎
日差しの暖かい日、うれしくて外に出る。門扉と道路の間の5センチにも満たない隙間に「あれっ、たんぽぽ」。このたんぽぽは、いつも地面に張り付いて葉をひろげていた。まるで掃除の行き届かない家の象徴のようで、少しでも伸びようものなら、むきになってむしっていた。そのうち、すっかり忘れ果てていた。今、蒲公英色(たんぽぽいろ)もあざやかに「春ですよ」と告げている。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
(金子みすゞ)
昨年末でもって気象庁は、たんぽぽの開花のお知らせは幕を閉じだと報道していた。70年近くも続いてきた動植物観察はウグイスの初鳴きや、モンシロチョウの初見など、季節の訪れを示して来たのだが・・・。
※詳細は2021年4月号本誌にて。
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