座標軸 2021.07

「マイ・ベンツ」と生きる
向野幾世【奈良大学元講師】

 七月や既にたのしき草の丈   日野草城

 かれこれ50年前になる。今の所に住み始めたころ、隣家のご主人と出勤が重なり「ご一緒しませんか」と声をかけたら、「いえ、マイ・ベンツがありますから」とさわやかな声を残し自転車で駆け抜けて行った。この一声がずっと心に残った。

 当時私は車に乗っていた。赤色のルノーで運転はうまくないが、子育ての身には必需品であった。通勤のはじまりは乳母車だった。その3年後、第2子の誕生は自動車を必要とした。上の子は保育園に、赤ん坊は乳児のための保育所と二つの施設を回った後、自分の職場に向かうのだが、職場までは38キロ離れており8時の始業時間に滑り込むのは実に至難の技であった。帰りはこの3カ所に加え夕飯の買い物が加わって家路についた。

 ※詳細は2021年7月号本誌にて。

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