座標軸 2021.11

年寄りの冷や水
向野幾世【奈良大学元講師】

 日の匂い土の香冬の水流る  滝 春一

 自粛暮らしのこの一年、部屋の窓から見える草木を飽きるほど眺めてきた。
 慣れっこになるとかえって四季を感じなくなるものか。ふと今朝のシャワーの水の冷たさに「おっ、冬だ」と。
 一年を通して朝は5時半ごろに目が覚める。目覚めるや自分を勇み立てる心があって、すぐシャワーを浴びる。一口にシャワーと言ったが、そのシャワーとはぬるま湯から熱く温度をあげ、体を温めたところでパッと冷水に切り替え、手足の先からだんだんと全身に浴びて行く水シャワーである。
 当然のことだが、冬になるにつれ、この水シャワーの霊験さは増していく。シャワーのあと体の芯からホワッと温もりが湧いてきて、「ああ、生きてる」。一瞬だがこの力が一日の原動力になる。大判タオルに身をくるむと、最高の幸せがひろがる。

 ※詳細は2021年11月号本誌にて。

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