時代に咲いた花 2021.06

神谷美恵子(下)
ハンセン病医療、父の猛反対で精神医学の道へ
「生きがい」について考察重ねベストセラーに

 アメリカでギリシャ語を専攻しながら、思想探求の日々を送る美恵子は、ペンドル・ヒルの学生寮で生涯の親友となる浦口真左と出会います。共に夢を語らい、友情を育む中で、内に封じてきた想いが再燃したのは、自然の流れでした。「自分は病人に呼ばれている」――そう繰り返し口にする美恵子に、真左は本当にやりたい道を目指すべきと背中を押します。

 反対していた父多門も根負けし、ハンセン病に関わらないことを条件に医学転向を許可。コロンビア大学に戻るとすぐ理学部の医学進学コースに籍を移します。ところが、その頃、日米関係は急速に悪化。戦争を見据え、アメリカではなく日本で医師免許を取得すべきとのアドバイスを受け、泣く泣く帰国すると、東京女子医専(現・東京女子医科大学)に編入学します。

 日米開戦により学生生活にも影響が及ぶ中、美恵子は医学の知識を貪欲に吸収し、書物を読み、文章や詩を書くことにも多くの時間を費やしました。「書きたい」という衝動は常に美恵子の内にあり、彼女はそれを”鬼(デーモン)”と呼び、創作意欲と医学志向との間で葛藤します。

 ※詳細は2021年6月号本誌にて。

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